亜鉛は酵素やホルモンを活性化させる

亜鉛は酵素やホルモンを活性化させる

亜鉛は酵素やホルモンを活性化させる

 

 ミネラルとしての亜鉛が人体に及ぼす作用は数多くありますが、そのほとんどが酵素の働きと密接に関わっています。

 

体内にはおよそ数千の酵素がありますが、そのうち約300種以上の酵素反応に亜鉛が関与していることがわかっています。

 

亜鉛はこれらの酵素が安定した構造を維持したり、活性化して働いたりするための中心的な存在なのです。

 

細胞分裂によって、新しい細胞をつくる際にも亜鉛は欠かせません。
細胞は核の中に遺伝情報を記したDNA(デオキシリボ核酸)を保持しているのですが、その情報を複製してRNAを合成するポリメラーゼという酵素は、亜鉛を含有しています。

 

細胞分裂の際にDNAをコピーする働きがあるジンクフインガー構造を持っている

 

タンパク質にもその名前にある通りジンクHZincH亜鉛が多く含まれているのです。

 

亜鉛が不足していると遺伝情報が正しく複製されず、細胞分裂の際にDNAの組み替えを失敗してしまう可能性が高まります。

 

このようにして生まれた突然変異種の細胞には、ガンの直接の原因となるものもあります。
一方、細胞の突然変異と密接な関わりがあるといわれているものに活性酸素がありますが、活性酸素を分解・除去するSODにも亜鉛が含まれています。亜鉛がさまざまな酵素の働きを助け、細胞の正常な分裂を促した結果として、私たちは健康的に生命を維持することができます。ここに挙げたのは、亜鉛と酵素の深い関わりうちのほんの一例に過ぎませんが、これだけでも亜鉛の偉大さが十分に理解できると思います。

 

亜鉛でホルモンを活性化させる

 

 亜鉛の大きな働きのひとつに、ホルモン分泌の活性化が挙げられます。とくに、性ホルモンや甲状腺ホルモン、インシュリンの合成には、亜鉛は欠かせません。

 

男性の場合、亜鉛が不足して男性ホルモン(テストステロン)が不足すると、精子や精液が減少し、不妊の原因になると言われています。精子の数はかつて、精液1CCあたり数億個以上あるのが当たり前でした。

 

しかし近年、フィチン酸やポリリン酸などの食品添加物が大いに出回るに伴って、日常的な亜鉛不足に陥った若い男性たちの精子は激減。アメリカのある調査によると、最近わずか50年ばかりの聞に、米国人男性の精液中精子濃度は半減したそうです。
これは極端な例かもしれませんが、日本人男性の精子も最近とみに減少しており、精液1CC当たり6000〜8000個しかないのが普通になったという報告もあります。

 

女性の場合は、卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンを強く作用させるのに、亜鉛が必要とされています。
これらのホルモンはやはり女性の性機能と深い関わりを持っており、亜鉛が欠乏すると卵巣の働きが悪くなって卵子が亜鉛不足に陥り、妊娠が難しくなるのです。
したがって、頻繁に生理不順が起こるようであれば、亜鉛不足が大きな原因になっているかもしれません。

 

また近年では、甲状腺ホルモンと亜鉛の密接な関係も明らかになってきました。
甲状腺は頚部に存在する臓器で、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンの働きにより、甲状腺ホルモンを生成します。
人間のあらゆる細胞は甲状腺ホルモンを必要としているため、甲状腺ホルモンをキャッチするための受容体を持っているのですが、この受容体の形成に亜鉛が必要とされているのです。

 

受容体と結び付いた甲状腺ホルモンは細胞の働きを促し、タンパク質の合成を助けます。また、交感神経を刺激することによって心拍や呼吸を-調整し、酸素の消費を高める働きもあります。さらに甲状腺ホルモンは、男性ホルモンの働きで減少する一方、女性ホルモンの働きで増加する傾向がありますが、胎児期から幼少期における心身の発育に大きな影響を与える成長ホルモンにも、深く関わっていることがわかっています。

 

血糖降下作用のあるインシュリンについては、その生成のときだけでなく、実際に血糖を下げる際にも亜鉛が欠かせません。インシュリンは糖尿病患者に対して有効なホルモンとされており、亜鉛の投与が糖尿病の改善に役立つという研究報告もなされています。