必須栄養素の亜鉛

必須微量栄養素としての亜鉛

必須栄養素の亜鉛

 

 亜鉛は中国では「鉾」と書きますが、日本で「亜鉛」という字が当てられたのは、江戸時代の中期。杏林堂の号で知られた寺島良安という漢方医が、「見た目が鉛と似ているから」との理由で名付けたと伝えられています。

 

鉛と言えば、非常に強い毒性を持つものとして知られていますが、鉛と亜鉛とはまったく別の性質を持った金属です。

 

実際に亜鉛は、人体に不可欠な微量一ミネラルのひとつとして知られています。

 

近年こそ亜鉛の性質が正しく認識されるようになりましたが、ごく最近まで、亜鉛を悪いイメージでとらえていた人が多かったのは、この不幸な命名に原因があったのかも知れません。古代エジプトの時代にはすでに薬として用いられていた亜鉛ですが、日本では主に皮膚の炎症やキズを治療する軟膏として活躍してきました。

 

また、ヨーロッパなどでは、タンパク質の合成を促すという亜鉛の性質に目をつけた酪農家たちが、牛や豚などの食用家畜のエサとして使ってきたという歴史もあります。20世紀の初頭には亜鉛のさまざまな性質が明らかになり、それと同時に、動物が成長するにあたって亜鉛が欠かせないものだということも、広く知られるようになりました。

 

体内における亜鉛には主に、ホルモンの活性化や糖・脂肪の代謝、有害金属の排出、DNAの合成、酵素の活性化などの働きがあります。とくに、酵素に対する働きかけについては、他のミネラルには及びも着かないほどの影響力を持っています。

 

人体には約数千の酵素が存在していて、食物の消化や細胞の新陳代謝などに大きく寄与しているのですが、そのうちおよそ約300種以上の酵素は、亜鉛がなくては働かないのです。
私たちが生きるために必要としている亜鉛は、ミネラルとしての亜鉛です。

 

しかし私たちは、残念ながら、自分の体内で亜鉛を生成することができません。

 

だからこそ、毎日の食生活に気を配り、亜鉛をしっかりと取り入れてやる必要があるのです。

 

 

亜鉛の体内分布

 人体にとって最も多く必要とされる微量ミネラルは鉄です。

 

身体中に酸素を運ぶ赤血球中のヘモグロビンは、鉄を含有することによって盛んに活動するのです。血液が赤いのはヘモグロビンが赤いからであり、鉄が血液の主要成分であることを物語っています。

 

鉄が不足すると身体が必要としている酸素が十分に行き渡らなくなるため、息切れやめまいを起こします。鉄に続いて多く必要とされるのが亜鉛です。人体には合わせては1gの亜鉛が含まれています。
そのうち約半分は血液中に含まれ、とくに、免疫としての役割を発揮する白血球には高い濃度で含まれています。残りの半分が存在しているのは、骨や皮膚、そして臓器です。臓器の中では、「腎臓や肝臓」「心臓」「肺」「醇臓」「生殖器」などに高濃度に含有されています。

 

人聞が生きていく上で重要な臓器や器官にこそ多く含まれているというのも亜鉛の大きな特徴なのです。

 

亜鉛には、体内の有害な物質を無害化する働きもあります。例えば酸素は、周知の通り生命の営みには絶対に欠かせない物質ですが、体内で食物をエネルギーに変換するプロセスにおいて、非常に不安定な活性酸素となる場合があります。

 

活性酸素は酸素毒と言われるほど有害なもので、ガンや糖尿病といった生活習慣病を引き起こす原因にもなっています。一方、私たちの体内には活性酸素の毒性を除去するSOD(スーパーオキサイドジスムターゼ)と呼ばれる酵素がありますが、このSODが働くには、亜鉛が必要だということがわかっています。

 

また、亜鉛には身体に有害な金属を排出する働きがあることも知られています。

 

体内に存在する亜鉛の量は、年齢を重ねるごとに徐々に減少します。鉄や鋼、マグネシウムなど他のミネラルも年をとるにつれて減少するのですが、亜鉛はとくに極端に減ってしまうのです。

 

現代では、亜鉛の減少と老化現象との間に密接な関わりがあることは、もはや常識です。

 

残念ながでは、亜鉛を積極的に体内に補給すれば、老化を防げるのでしょうか?

 

どんなに健康な人でも、老化だけは防ぐことができません。

 

しかし、亜鉛の量を十分に保つことで、老化のスピードを遅らせることはできそうです。
50歳を過ぎたら積極的に亜鉛を摂取すべきだ」と、唱えている医学博士もいるほどです。亜鉛は他のミネラルに比べて、排出されやすいという特徴があります。

 

それを考えても、十分な量の亜鉛を摂取する努力が、日常的に必要だと言えますね。